前回の投稿
「模試に関する偏差値の知識と計れないことについて(その0)」
でピックアップした項目のうち、
いわゆる中学受験用模試の偏差値はどういうものなのかについて考察してみます。
目次
平均点は偏差値50である
偏差値 = (得点 − 平均点) × A / 標準偏差 + B
で求めますが、
Wikipediaの「学力偏差値」にあるとおり、中学受験の模試では、10刻みの分かりやすい数値で表すために
偏差値 = (得点 − 平均点) ÷ 標準偏差 × 10 + 50
で算出しています。
ですので、平均点は、
得点 − 平均点 の部分が0になるため、偏差値は50になります。
※標準偏差や分散については「すぐる学習会」のサイトが分かりやすいと思います。
http://www.suguru.jp/nyuushi/hensachi.html
正規分布を前提としている
偏差値は、ある数値がサンプルの中でどれくらいの位置にいるかを表したものですが、きれいな左右対称の山型の分布のグラフになる場合にデータとしての価値が出てきます。
その考え方を模試の点数の分布でも前提としています。
By M. W. Toews [CC BY 2.5], via Wikimedia Commons
塾の模試は正規分布になるように作られている
合不合、日能研公開模試、首都圏模試、サピックスオープンなどの多くの模試で、
応用的な難易度の高い問題から、受験生のほとんどが答えられるような基本的な問題まで、バランスの取れた問題を作問し出題しています。
問題数も多めで、全員が時間内に全部解けるような設定にはなっていません。
これにより、偏差値考え方の基本である正規分布を使って、試験結果を捉えることが可能になっています。
次回以降で触れますが、実際の入学試験の場合は、基本問題が出題されない学校や、基本問題がほとんどの学校など様々で、合格判定の正確性については、偏差値が届いている届いていないでは、計りきれない面があります。
各偏差値帯の分布状況。偏差値40ー60で約7割を占める
偏差値帯 | 割合 |
80〜 | 0.1% |
70〜80 | 2.1% |
60〜70 | 13.6% |
50〜60 | 34.1% |
40〜50 | 34.1% |
30〜40 | 13.6% |
20〜30 | 2.1% |
〜20 | 0.1% |
各偏差値の分布状況はこのようになっており、40〜60で約68%とほぼ7割がここに位置しています。
10,000人受験すると約6800人がこの間に位置しています。
偏差値40ー60は比較的上げやすい
偏差値40ー60の場合、基本問題の取りこぼし、苦手分野がある、ケアレスミス、時間不足で空欄にした。平均点を取れていても、これは必ずあります。
これらの問題点を克服していくことで、上げていくことが可能です。
できているところ、できていないところのでこぼこがあり、むしろ伸びしろがあるということで、成績アップは期待できます。
ケイの場合、算数は、捨て問を作って、MAXできても120点くらい。
最後の方の応用問題も手を付けても(1)まで
残りの問題で取りこぼしをなくしていく方向でという対策で、全部やろうとしてできるはずの問題もできなくなるというような失敗を極力減らす戦略をとりました。
正答率の高い問題は確実に50%の問題もできるだけとけるようにといった感じで、模試が終わった後の解き直しも、重要視していました。
進学レーダーの古い記事に、こんなのがありました。
http://www.asahi.com/edu/student/guide/special3.html
今でも変わっていないようです。
逆に偏差値60以上からは、上げるのが難しくなってくる
偏差値が60以上の場合は、全体の上位約15%。
みんなが取れる問題はきちんと取れている。
合不合でいうと350点くらいは少なくともとれなくてはいけなくて、国語と算数もバランス良く100点以上取れている。
捨て問もほとんどなくて、応用問題でも得点できなければならない。
※ケイが偏差値60を超えた唯一の回は、こんな感じです。「日能研公開模試10/4合格判定テスト2回目結果」
「偏差値60の壁」なんて言葉もあるように、ここから先はなかなか困難な道のようです。
本来はその1回分のテスト結果にのみ当てはまるデータである
データは、その時の試験のデータから算出したもので、本来は、その試験の1回限りに当てはまることです。
これをどのようにして、学校ごとの合格判定や偏差値を決定しているのか、次回の投稿で触れてみたいと思います。